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8月1日 晴れ
昨日、陽太に告白された!
中学のころからずっと好きだったから、めちゃ嬉しい!
今日から夏休みだし、これからいっぱい思い出作ろうね!
陽太だいすき♡←なんてね!
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付き合ってすぐの日記だろうか。
このころはまだ、とても元気そうだったのに。
俺はあいつに、良い思い出を作ってあげられただろうか。
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8月7日 晴れ
明日、クラスメイトの何人かで集まって、近くの墓地に肝試しに行くことになった。
あそこはひいおじいちゃん達のお墓があるから、ちょっと気まずいかも笑。
今年もお母さん達はお墓参り行くのかな?
今年、私はどうしようかなあ。
もうずいぶん行ってないから、ひいおじいちゃん怒ってるかも…
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肝試し…?
そういえばそんな話があったっけ。
夏菜とはじめて手を繋いだのも、確かその日だったな。
お互いに汗ばんだ手を気にしていたのが懐かしい。
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8月12日 曇り
なんか肝試しに行ってから調子が悪い。
ずっと背筋がゾクゾクして、寒いんだけど…。
もしかして風邪ひいちゃったかな?
今日からしばらく、のんびり過ごす!
陽太から花火デートに誘われたから早く治さなきゃ…31日が楽しみすぎる!
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夏菜、このころから調子が悪かったのか…。
もっとマメに連絡を取っておけば良かった。
そしたら、体調の変化にもっと早くに気づいてやれたかも知れないのに。
唇を噛みしめながら、次のページをめくった。
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8月18日 雨
体がダルい。
ずっと高い熱が続いてて、原因も分かんない。
最近変な夢も見るし、ホントになんなの…。
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…変な夢?
なんのことだろうかと首をひねる。
思い返してみれば、見舞いに行った夏菜はよくうなされていた。
それのこと、だろうか?
背筋にヒヤリとしたものを感じた。
震える指で、最後のページをめくる。
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8月23日 分かんない
夢の中の男の子がずっと枕元にいる。
なんか見覚えのある顔…。
思い出した。
昔、お墓参りで会ってる。
あの墓地で私、会ったことがある。
そのときと見た目が変わってないのはなんで?
なんで怒ってるの?
私が裏切ったって、どういうことなの。
約束ってなんのこと?
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暑い部屋の中、だらだらと汗が流れ出た。
しかしそんなこと気にする余裕もなく、俺は静かに日記から目をそらす。
最後の日付は23日…この翌日、夏菜は死んだ。
苦しそうに目を見開きながら、口を開けて。
原因不明の病だと思っていたけど、もしかして…違うのか…?
やがて自分の中で一つの結論に至り、俺は首を振った。
そんなこと、あるわけがない。
幽霊の祟りとか呪いとか、あり得るわけないだろ。
ふと、手から日記がすべり落ち、その衝撃で勝手にページが数枚めくられていく。
広がった白いページに、文字が書いてあった。
そこには夏菜の筆跡とは明らかに違う、赤黒い色で、何者かの文字。
目が、文字を追ってしまう。
そこには一言。
『結婚してくれるっていったのに』



