「質問の答えだけど、知ってるよ。彼女はイージス神聖王国の聖女だ。その菫色の瞳が、何よりの証」
ノエルは淡々と告げると、自身の指に嵌っている指輪の石を全員に見せるように動かす。それはルーチェの瞳と同じ色だ。
「イージスの聖女は、代々黄金色の髪と菫色の瞳の少女だから」
「聖王とやらは」
「聖王様は……僕がお会いしたことがあるのは一人だけだから、断言はできないけど。同じく黄金色だと思う」
ヴィルジールは「そうか」と吐くと、テーブルの下で長い脚を組んだ。
これでルーチェが聖女であることは確かなことになった。それも、各国で稀に生まれる聖女ではなく、特異な力を持つとされるイージス神聖王国の聖女だ。
ノエルがグラスを傾ける。先ほどまでルーチェを観察していたようだったが、今は安堵したような、何かが解けたような──和らいだ表情だ。
「聖女が生きていたということは、聖王様もご無事のはずだ」
どういうことだと、ルーチェはノエルの顔を凝視した。
「聖王様は、私があやめてしまったのではないのですか?」
「誰がそんなことを?」
ノエルが机を叩いて立ち上がる。その時の音に驚いたルーチェは、びくりと肩を揺らしたのちに、視線を手元へ落とした。
「……皆が言っていたのです。この国に避難していた、イージスの民たちが」
ルーチェは弱々しい声で吐ききると、ぎゅっと唇を噛み締めた。
ノエルは淡々と告げると、自身の指に嵌っている指輪の石を全員に見せるように動かす。それはルーチェの瞳と同じ色だ。
「イージスの聖女は、代々黄金色の髪と菫色の瞳の少女だから」
「聖王とやらは」
「聖王様は……僕がお会いしたことがあるのは一人だけだから、断言はできないけど。同じく黄金色だと思う」
ヴィルジールは「そうか」と吐くと、テーブルの下で長い脚を組んだ。
これでルーチェが聖女であることは確かなことになった。それも、各国で稀に生まれる聖女ではなく、特異な力を持つとされるイージス神聖王国の聖女だ。
ノエルがグラスを傾ける。先ほどまでルーチェを観察していたようだったが、今は安堵したような、何かが解けたような──和らいだ表情だ。
「聖女が生きていたということは、聖王様もご無事のはずだ」
どういうことだと、ルーチェはノエルの顔を凝視した。
「聖王様は、私があやめてしまったのではないのですか?」
「誰がそんなことを?」
ノエルが机を叩いて立ち上がる。その時の音に驚いたルーチェは、びくりと肩を揺らしたのちに、視線を手元へ落とした。
「……皆が言っていたのです。この国に避難していた、イージスの民たちが」
ルーチェは弱々しい声で吐ききると、ぎゅっと唇を噛み締めた。


