「聖女の存在は国にとって価値があるのですか」
オヴリヴィオ帝国の基本的なマナーは学んだが、社交界における異性との歩き方は全く分からない。つられるようにして歩みを進めるルーチェだが、緊張で身体は強張っていた。
せめて空気だけでも和らげねばと思い、口を開いたのだが。
「……そういう意味で言ったわけではない」
選んだ話題がよくなかったのか、ヴィルジールの声色は冷たく低い。
いくつもの視線が自分たちに刺さるのを感じながら、ルーチェはヴィルジールの顔を見上げる。すると、青色の瞳と視線が交わった。
「だが、敢えてその色を衣装を贈り、並んで歩かせているのは、利用しているも同然だな」
ルーチェは首を傾げた。青色のドレスを着たルーチェと歩くことに、どんな意味があるのだろうか。
「私を利用しているのですか?」
「国を救った聖女が俺と並んで歩いているのを見て、娘を妃にと差し出せると思うか?」
ルーチェは何度か瞬きをしているうちに、その言葉の意味を理解した。
周囲にはヴィルジールへ羨望の眼差しを向けている少女がたくさんいる。その隣を狙いに行こうにも、聖女が相手では分が悪いのだろう。
オヴリヴィオ帝国の基本的なマナーは学んだが、社交界における異性との歩き方は全く分からない。つられるようにして歩みを進めるルーチェだが、緊張で身体は強張っていた。
せめて空気だけでも和らげねばと思い、口を開いたのだが。
「……そういう意味で言ったわけではない」
選んだ話題がよくなかったのか、ヴィルジールの声色は冷たく低い。
いくつもの視線が自分たちに刺さるのを感じながら、ルーチェはヴィルジールの顔を見上げる。すると、青色の瞳と視線が交わった。
「だが、敢えてその色を衣装を贈り、並んで歩かせているのは、利用しているも同然だな」
ルーチェは首を傾げた。青色のドレスを着たルーチェと歩くことに、どんな意味があるのだろうか。
「私を利用しているのですか?」
「国を救った聖女が俺と並んで歩いているのを見て、娘を妃にと差し出せると思うか?」
ルーチェは何度か瞬きをしているうちに、その言葉の意味を理解した。
周囲にはヴィルジールへ羨望の眼差しを向けている少女がたくさんいる。その隣を狙いに行こうにも、聖女が相手では分が悪いのだろう。


