先日の襲撃の話をするべきか、それともヴィルジールのことを尋ねるべきか。どうしようかと考えていると、ヴィルジールが静かに立ち上がった。
そして、片手を挙げる。それは何かの合図なのか、部屋の端にいた使用人たちが全員出て行った。
広い部屋にふたりきりになると、ヴィルジールは少女の元へと歩み寄ってきた。
別の場所に移動するのだろうか。自分も立った方がいいのだろうか。頭の中で軽くパニックになっていると、ヴィルジールが手を差し出してきたので、ほっと胸を撫で下ろした。
ヴィルジールの手に導かれるようにして連れて行かれたのは、お洒落なデザインのテラスだった。白い石造りの柵には蔦が上に向かって絡まり、所々に花が散りばめられている。そっと触れるとそれは冷たく、作り物であることが分かった。なんて繊細で美しい細工だろう。
(夜空も綺麗……)
二人の間を、風がさらさらと流れる。少女は隣にいるヴィルジールを見上げ、風に遊ばれる長い髪の毛を片方の耳へと掛けた。
するとヴィルジールがぽつりと呟く。
「……その髪、力を使ったからなのか?」
「恐らく……そうだとは思いますが、原因は分かりません。目が覚めたら、この色に染まっていました」
それからヴィルジールは、少女のことをじっと見つめた。
そして、片手を挙げる。それは何かの合図なのか、部屋の端にいた使用人たちが全員出て行った。
広い部屋にふたりきりになると、ヴィルジールは少女の元へと歩み寄ってきた。
別の場所に移動するのだろうか。自分も立った方がいいのだろうか。頭の中で軽くパニックになっていると、ヴィルジールが手を差し出してきたので、ほっと胸を撫で下ろした。
ヴィルジールの手に導かれるようにして連れて行かれたのは、お洒落なデザインのテラスだった。白い石造りの柵には蔦が上に向かって絡まり、所々に花が散りばめられている。そっと触れるとそれは冷たく、作り物であることが分かった。なんて繊細で美しい細工だろう。
(夜空も綺麗……)
二人の間を、風がさらさらと流れる。少女は隣にいるヴィルジールを見上げ、風に遊ばれる長い髪の毛を片方の耳へと掛けた。
するとヴィルジールがぽつりと呟く。
「……その髪、力を使ったからなのか?」
「恐らく……そうだとは思いますが、原因は分かりません。目が覚めたら、この色に染まっていました」
それからヴィルジールは、少女のことをじっと見つめた。


