ずくりとした鈍く重い痛みが、腹部から広がっていく。そこからこぼれるように何かが溢れていくのを感じながら、ルーチェは顔を振り上げた。
竜の赤い眼が、ふるえている。積年の怒りや憎しみに満ちているようだが、怯えているようにも見えた。
「……エクリプス様。貴方は愛するものをいつくしんだその手で、誰かを殺めるのですか……?」
「(ワタ、ワタシハッ──)」
「……その手は、何のためにあるのですか」
竜はもがき苦しむような声を上げながら、ルーチェを宙に吊り上げていく。声にならない凄まじい痛みに、ルーチェは顔を顰めた。
それでもルーチェは、竜の瞳を見つめ返した。残りの力を託して消えてしまった、ソレイユの想いに応えるように。
「(──お前に何が分かるッ!私は全てを捧げ、愛しいものたちを守ったというのにっ……!なのに私は、何よりも愛していた者に置いて行かれっ……)」
ぐぐぐ、と。ルーチェを貫く爪が、腹の中で動く。
ごぽりと口から血が溢れ、赤が散る。経験したことのない痛みに思考が焼き切れそうだ。
「ルーチェッ!! 待っていろ、今──」
ヴィルジールの声が背中に突き刺さる。咄嗟に突き飛ばしたヴィルジールが剣を握り立ち上がり、こちらに向かってくるのを感じて──ルーチェは右の手のひらを握り締めた。
だが、誰かがヴィルジールを止めたようだ。
竜の赤い眼が、ふるえている。積年の怒りや憎しみに満ちているようだが、怯えているようにも見えた。
「……エクリプス様。貴方は愛するものをいつくしんだその手で、誰かを殺めるのですか……?」
「(ワタ、ワタシハッ──)」
「……その手は、何のためにあるのですか」
竜はもがき苦しむような声を上げながら、ルーチェを宙に吊り上げていく。声にならない凄まじい痛みに、ルーチェは顔を顰めた。
それでもルーチェは、竜の瞳を見つめ返した。残りの力を託して消えてしまった、ソレイユの想いに応えるように。
「(──お前に何が分かるッ!私は全てを捧げ、愛しいものたちを守ったというのにっ……!なのに私は、何よりも愛していた者に置いて行かれっ……)」
ぐぐぐ、と。ルーチェを貫く爪が、腹の中で動く。
ごぽりと口から血が溢れ、赤が散る。経験したことのない痛みに思考が焼き切れそうだ。
「ルーチェッ!! 待っていろ、今──」
ヴィルジールの声が背中に突き刺さる。咄嗟に突き飛ばしたヴィルジールが剣を握り立ち上がり、こちらに向かってくるのを感じて──ルーチェは右の手のひらを握り締めた。
だが、誰かがヴィルジールを止めたようだ。


