マーズは魔法使いの国と呼ばれている。国を治める王はいないが、遥か昔に精霊の王と約束を交わしたと言われている一族が統治している。その一族の長が長老と呼ばれ、人と精霊を繋ぐものを大切に守ってきたそうだ。
帝国の人間であるヴィルジールも、その側近であるエヴァンやアスランも魔法を使えるが、彼らは魔法使いではない。
この世では、精霊の力を借りて魔法を発動させる者を魔法使いと呼び、それ以外の者には魔術師や治癒師といったふうに、“師”と付けられるそうだ。
「──遠路遥々よくぞ来てくださった。オヴリヴィオ帝国の皇帝陛下、イージス神聖王国の聖女よ」
マーズの長老は長い銀髪がよく似合う、黒いローブを着た男性だった。彼をノエルは“じいさん”と呼ぶが、そう呼ぶにはそぐわない見た目をしている。
(い、一体おいくつなのかしら……)
見たままを言うならば、年齢はヴィルジールとそう変わらないように見える。挨拶を交わして以来、じっと見入っているルーチェの視線に気付いたのか、長老はくすくすと笑った。
「私はこう見えて、貴女方の三倍以上は生きていますよ」
「さ、三倍……!?」
「ええ。私の一族は精霊の血が混じっているので、長寿なのです」
とはいえここ最近は腰が痛むのですが、と笑う長老は、どこからどう見ても若い青年しか見えなかった。
帝国の人間であるヴィルジールも、その側近であるエヴァンやアスランも魔法を使えるが、彼らは魔法使いではない。
この世では、精霊の力を借りて魔法を発動させる者を魔法使いと呼び、それ以外の者には魔術師や治癒師といったふうに、“師”と付けられるそうだ。
「──遠路遥々よくぞ来てくださった。オヴリヴィオ帝国の皇帝陛下、イージス神聖王国の聖女よ」
マーズの長老は長い銀髪がよく似合う、黒いローブを着た男性だった。彼をノエルは“じいさん”と呼ぶが、そう呼ぶにはそぐわない見た目をしている。
(い、一体おいくつなのかしら……)
見たままを言うならば、年齢はヴィルジールとそう変わらないように見える。挨拶を交わして以来、じっと見入っているルーチェの視線に気付いたのか、長老はくすくすと笑った。
「私はこう見えて、貴女方の三倍以上は生きていますよ」
「さ、三倍……!?」
「ええ。私の一族は精霊の血が混じっているので、長寿なのです」
とはいえここ最近は腰が痛むのですが、と笑う長老は、どこからどう見ても若い青年しか見えなかった。


