亡国の聖女は氷帝に溺愛される



「──ルーチェ様ッ!!」

「──陛下っ!!!」

 ルーチェとヴィルジールがセルカとルシアン、アスランら騎士一行と再会を果たしたのは、雨が降り止んだ後だった。

 ふたりの元へ案内をしたのはルーチェの聖獣だったようで、先頭には聖獣が、その背後には馬に跨るセルカとルシアンが、後方には御者の隣で白目を剥いているアスランの姿があった。

「一体何があったのですか!?」

 ルシアンは火を起こし、セルカはルーチェの身体をタオルで拭っていく。騎士たちは気を失っているアスランを除いて、周囲を警戒するために散らばった。

「さあな。馬車に雷が落ちて、俺とルーチェだけを落としたようだが」

「そんなことがあるのですか?」

「……現に起きただろう。あれが雷なのか、魔法の類なのかは分からないが」

 ヴィルジールは落ちた馬車を見遣った。

 不思議なことに、あの落雷を受けたのは馬車だけで、繋がれていた馬は四頭とも無傷だった。そのうちの一頭はヴィルジールの愛馬だったらしく、彼に鬣を撫でられている馬は鼻を擦り寄せている。

 ヴィルジールが愛馬へ向ける眼差しはとても柔らかく、側から眺めていたルーチェの胸を温かくさせた。