目を開けると、真っ先に目に入ったのは見覚えのある天井だった。時刻は夜なのか、宝石を集めたようなシャンデリアが光を放っている。
ぼんやりと上を眺めていたら、ドアが開く音がした。首だけを動かすと、驚いた顔をしているセルカと目が合う。
「聖女様っ……!」
セルカの手から照明具が落ちる。それに目もくれずに駆け寄ってきたセルカは、夜でも分かるほどに瞳を揺らしていた。
「痛いところは、ございませんか」
少女は首を左右に振った。血を流すような怪我をしていたはずなのに、不思議とどこも痛くないのだ。
「苦しいところは」
「セルカさん」
お人形のようだった彼女が、顔を忙しくさせているのを見て、思わず口の端に笑みが滲む。
自分の正体は罪を犯した聖女だったというのに。駆けつけてくれるほどまでに、心配してくれていたのだろうか。
「セルカとお呼びくださいと、申し上げましたのに」
「いやです。それだけは」
揺れる藍色を見つめながら、その手を握り返す。
まだ出逢って間もないというのに、側に居てくれると安らかな気持ちになる。不思議なことだ。
「すぐに温かいお飲み物をお持ちいたします。少しお待ちください」
「セルカさ──」
それは必要ない、と言おうとした時だった。背を向けたセルカが、そこから動かなくなったかと思えば、深々と頭を下げたのだ。
部屋の入り口に立つ人影を見て、少女は静かに目を見張った。
ぼんやりと上を眺めていたら、ドアが開く音がした。首だけを動かすと、驚いた顔をしているセルカと目が合う。
「聖女様っ……!」
セルカの手から照明具が落ちる。それに目もくれずに駆け寄ってきたセルカは、夜でも分かるほどに瞳を揺らしていた。
「痛いところは、ございませんか」
少女は首を左右に振った。血を流すような怪我をしていたはずなのに、不思議とどこも痛くないのだ。
「苦しいところは」
「セルカさん」
お人形のようだった彼女が、顔を忙しくさせているのを見て、思わず口の端に笑みが滲む。
自分の正体は罪を犯した聖女だったというのに。駆けつけてくれるほどまでに、心配してくれていたのだろうか。
「セルカとお呼びくださいと、申し上げましたのに」
「いやです。それだけは」
揺れる藍色を見つめながら、その手を握り返す。
まだ出逢って間もないというのに、側に居てくれると安らかな気持ちになる。不思議なことだ。
「すぐに温かいお飲み物をお持ちいたします。少しお待ちください」
「セルカさ──」
それは必要ない、と言おうとした時だった。背を向けたセルカが、そこから動かなくなったかと思えば、深々と頭を下げたのだ。
部屋の入り口に立つ人影を見て、少女は静かに目を見張った。


