◇
ルーチェが新しい部屋に移ると、その翌日からヴィルジールと朝食を共にするようになった。
一緒に朝食はどうかと誘いがあった時は驚いたが、ふたりの部屋は同じ階にあり、共に取れば使用人の仕事の効率も良いそうだ。
(──確かに、近くにいるのに別々に取っては、使用人の皆さんも大変だものね)
一緒に朝食を取るようになってから七日目。初日は話題に困ったが、今では一日の予定や城の外のことなど、何の変哲もない話もするようになった。
ヴィルジールは口数が少なく、感情の起伏が乏しい声のせいで冷淡だと思われがちだが、質問には必ず答えが返ってくるし、ルーチェのことも何かと気にかけてくれている。
逢ったばかりの頃は、冷たい物言いをする人だと思ったものだが、本当は優しい人なのだと今なら分かる。
「──それで、近々マーズに行こうと思うのだが」
話題は今の旬の果物から一変、ノエルの祖国であるマーズに行くというものに変わり、ルーチェはスプーンを持つ手を下げた。
「マーズ、ですか?」
「ああ。本当はあの魔法使いに来てもらいたいところだったが、長老とやらの具合が悪いらしく、国から出られないそうだ」
大魔法使いであるノエルには役目があり、おいそれと国外に出ることは叶わないそうだ。だがノエルはルーチェの為に、オヴリヴィオ帝国まで出向いてくれた。今度はこちらの番らしい。
ルーチェが新しい部屋に移ると、その翌日からヴィルジールと朝食を共にするようになった。
一緒に朝食はどうかと誘いがあった時は驚いたが、ふたりの部屋は同じ階にあり、共に取れば使用人の仕事の効率も良いそうだ。
(──確かに、近くにいるのに別々に取っては、使用人の皆さんも大変だものね)
一緒に朝食を取るようになってから七日目。初日は話題に困ったが、今では一日の予定や城の外のことなど、何の変哲もない話もするようになった。
ヴィルジールは口数が少なく、感情の起伏が乏しい声のせいで冷淡だと思われがちだが、質問には必ず答えが返ってくるし、ルーチェのことも何かと気にかけてくれている。
逢ったばかりの頃は、冷たい物言いをする人だと思ったものだが、本当は優しい人なのだと今なら分かる。
「──それで、近々マーズに行こうと思うのだが」
話題は今の旬の果物から一変、ノエルの祖国であるマーズに行くというものに変わり、ルーチェはスプーンを持つ手を下げた。
「マーズ、ですか?」
「ああ。本当はあの魔法使いに来てもらいたいところだったが、長老とやらの具合が悪いらしく、国から出られないそうだ」
大魔法使いであるノエルには役目があり、おいそれと国外に出ることは叶わないそうだ。だがノエルはルーチェの為に、オヴリヴィオ帝国まで出向いてくれた。今度はこちらの番らしい。


