「なぜ……ソレイユ様が、わたしと、ヴィルジールさまの前に」
あなたはわたくしであり、わたくしはあなたなのです。そう、うたっていた声が脳裏で繰り返される。ふわりふわりと浮いていた、小さな光の玉も。
「ソレイユ様は、私に何を伝えようとしていたのでしょう」
ルーチェは顔を俯かせ、掌を力いっぱい握りしめた。
ノエルがルーチェに光を灯したことで、ルーチェも他者に光を灯せるようになった。そうして、彼女の──ソレイユの声が届くようになった。
彼女はずっと、この地で──このオヴリヴィオ帝国の城の片隅で、ルーチェが訪れるのを待っていたと言ったのだ。
(でも、それは何のために?)
俯くルーチェの左手に、ヴィルジールの指先が触れた。その温もりに驚いて顔を上げると、綺麗な青色の瞳とぶつかった。
「遥か昔、ソレイユは俺の祖先と約束をしたらしい。いつか自分の生まれ変わりがこの地を訪れたら、聖女の剣を返すようにと」
「……聖女の、剣?」
小さな声で繰り返したルーチェの左手の小指に、ヴィルジールの人差し指が絡められる。
「聖女の剣で、あの方を救って欲しいと言っていた。あの方が誰を指すのか、聖女の剣がどこにあるのか、分からないことは多いが」
ヴィルジールはルーチェが眠っていた間、ソレイユと盟約を交わした王──剣を受け取った初代皇帝・ヴィセルクの足跡を辿るために、文献を漁っていた。
収穫はひとつも得られなかったが、そうしている間にルーチェが目を覚ました。暗闇に一筋の光が差し込んだような思いを感じたのだ。
あなたはわたくしであり、わたくしはあなたなのです。そう、うたっていた声が脳裏で繰り返される。ふわりふわりと浮いていた、小さな光の玉も。
「ソレイユ様は、私に何を伝えようとしていたのでしょう」
ルーチェは顔を俯かせ、掌を力いっぱい握りしめた。
ノエルがルーチェに光を灯したことで、ルーチェも他者に光を灯せるようになった。そうして、彼女の──ソレイユの声が届くようになった。
彼女はずっと、この地で──このオヴリヴィオ帝国の城の片隅で、ルーチェが訪れるのを待っていたと言ったのだ。
(でも、それは何のために?)
俯くルーチェの左手に、ヴィルジールの指先が触れた。その温もりに驚いて顔を上げると、綺麗な青色の瞳とぶつかった。
「遥か昔、ソレイユは俺の祖先と約束をしたらしい。いつか自分の生まれ変わりがこの地を訪れたら、聖女の剣を返すようにと」
「……聖女の、剣?」
小さな声で繰り返したルーチェの左手の小指に、ヴィルジールの人差し指が絡められる。
「聖女の剣で、あの方を救って欲しいと言っていた。あの方が誰を指すのか、聖女の剣がどこにあるのか、分からないことは多いが」
ヴィルジールはルーチェが眠っていた間、ソレイユと盟約を交わした王──剣を受け取った初代皇帝・ヴィセルクの足跡を辿るために、文献を漁っていた。
収穫はひとつも得られなかったが、そうしている間にルーチェが目を覚ました。暗闇に一筋の光が差し込んだような思いを感じたのだ。


