セシルは先代の皇帝の十五番目の皇子であり、ヴィルジールの異母兄弟である。ヴィルジールの母君は身分の低い女性だったそうだが、視察に訪れていた先代に身染められ、妃にと迎えられたそうだ。
セシルの母君は侯爵家の出であり、先代が皇子の頃に皇太子妃として迎えられた。だが生来身体が弱かった彼女は、十年もの間子に恵まれず、それを理由に皇太子妃の座から下ろされてしまった。
後から迎えられた妃たちに先を越され、彼女は心を壊していったという。
嫁いで十年目を迎えた頃に、ようやく男の子を授かることができたが、彼女は我が子の顔を見ることなく逝った。
その子供が、今ルーチェの目の前にいる、セシル皇子である。
「驚きました。聖女様が現れたという噂は耳にしていたのですが、まさか城にいらっしゃるとは」
寝室の隣にある応接室に移動すると、セシルは慣れた手つきでお茶を用意し始めた。幼少期に毒を盛られて以来、信用の置ける者か自らの手で用意するようにしているそうだ。
「ヴィルジール様の……陛下のご厚意で、離宮に置いていただいております」
セシルはほんの一瞬、驚いたように目を見張っていたが、すぐに笑みを浮かべた。
「そうでしたか。貴女様もイージスから来た聖女様だとお聞きしたのですが、イージス神聖王国には聖女様が二人おられるのですか?」
ルーチェは目を瞬いた。
セシルの母君は侯爵家の出であり、先代が皇子の頃に皇太子妃として迎えられた。だが生来身体が弱かった彼女は、十年もの間子に恵まれず、それを理由に皇太子妃の座から下ろされてしまった。
後から迎えられた妃たちに先を越され、彼女は心を壊していったという。
嫁いで十年目を迎えた頃に、ようやく男の子を授かることができたが、彼女は我が子の顔を見ることなく逝った。
その子供が、今ルーチェの目の前にいる、セシル皇子である。
「驚きました。聖女様が現れたという噂は耳にしていたのですが、まさか城にいらっしゃるとは」
寝室の隣にある応接室に移動すると、セシルは慣れた手つきでお茶を用意し始めた。幼少期に毒を盛られて以来、信用の置ける者か自らの手で用意するようにしているそうだ。
「ヴィルジール様の……陛下のご厚意で、離宮に置いていただいております」
セシルはほんの一瞬、驚いたように目を見張っていたが、すぐに笑みを浮かべた。
「そうでしたか。貴女様もイージスから来た聖女様だとお聞きしたのですが、イージス神聖王国には聖女様が二人おられるのですか?」
ルーチェは目を瞬いた。


