◆
「──陛下! 二時間もどちらへ行かれていたのですか!?」
青い絨毯が敷かれている廊下に、エヴァンの声が響く。ヴィルジールはため息を一つ吐いてから足を止めた。
「静かにしろ。ルーチェが寝ている」
「……はい?」
振り返ったヴィルジールはルーチェを横抱きにしていた。
エヴァンはぱちぱちと瞬きをしてから、ヴィルジールとその腕に抱かれているルーチェを交互に見て、また瞬きをした。口を開けたまま、同じ動きを繰り返す。
「……その方は、聖女様……ですよね?」
「そうだが」
「何故陛下が運んでいるのです?というか、どうして眠って……?」
「貴様は目の前で小娘が寝ていたら、土の上に置き去りにするのか?くだらない質問をするな」
「いや、ちょ、陛下っ……」
(──いつもの貴方なら“だから何だ”とか“関係ない”と言って、放っておくに決まっているのに!)
まだ話は終わっていないというのに、ヴィルジールはエヴァンを置いて歩き出した。その後ろを追いかけるエヴァンの手には皮の手帳が握られている。
「陛下!今朝もお伝えした通り、本日は来客がありまして!」
「知っている」
「でしたら、聖女様は使用人に預けて、謁見の間にお急ぎください!もう到着されているのですよ!」
「来客とは言っても、相手はセシルだろう。身支度に時間がかかったとか、適当な言い訳をすればいい」
ヴィルジールは不機嫌な声で返すと、執務室の扉を開け、その向こうへと消えた。
「──陛下! 二時間もどちらへ行かれていたのですか!?」
青い絨毯が敷かれている廊下に、エヴァンの声が響く。ヴィルジールはため息を一つ吐いてから足を止めた。
「静かにしろ。ルーチェが寝ている」
「……はい?」
振り返ったヴィルジールはルーチェを横抱きにしていた。
エヴァンはぱちぱちと瞬きをしてから、ヴィルジールとその腕に抱かれているルーチェを交互に見て、また瞬きをした。口を開けたまま、同じ動きを繰り返す。
「……その方は、聖女様……ですよね?」
「そうだが」
「何故陛下が運んでいるのです?というか、どうして眠って……?」
「貴様は目の前で小娘が寝ていたら、土の上に置き去りにするのか?くだらない質問をするな」
「いや、ちょ、陛下っ……」
(──いつもの貴方なら“だから何だ”とか“関係ない”と言って、放っておくに決まっているのに!)
まだ話は終わっていないというのに、ヴィルジールはエヴァンを置いて歩き出した。その後ろを追いかけるエヴァンの手には皮の手帳が握られている。
「陛下!今朝もお伝えした通り、本日は来客がありまして!」
「知っている」
「でしたら、聖女様は使用人に預けて、謁見の間にお急ぎください!もう到着されているのですよ!」
「来客とは言っても、相手はセシルだろう。身支度に時間がかかったとか、適当な言い訳をすればいい」
ヴィルジールは不機嫌な声で返すと、執務室の扉を開け、その向こうへと消えた。


