熱の有無を確かめるためとはいえ、許可もなくヴィルジールの顔に触れたルーチェは、すぐに我に返り、滑るように手をついて謝った。だがヴィルジールは怒ることも責めることもしないどころか、“肩を貸せ”と言った。
恐る恐る体ごと寄せると、ヴィルジールの頭が肩にこてんと乗る。その重みと熱に、くすぐったいような、恥ずかしいような気持ちがあふれ、思わず両手で胸の辺りを押さえていたルーチェだったが、時間が経つにつれ呼吸は落ち着いていった。
だが、胸の鼓動だけは忙しなく動き続けていた。
眠るヴィルジールを起こさないよう、ルーチェは静かに読書をしていたが、二冊目を読み終えた辺りで睡魔に襲われた。
ここで自分が寝て、身体が傾こうものならば、ヴィルジールの休息を邪魔してしまうかもしれない。だから頑張って起きていなければと思い、頬や手の甲を抓ったり、魔法学の本を開いてみたりと色々試みたが、どれも睡魔に勝つことはできなかった。
──細くしなやかな手から、本が滑り落ちる。その音でヴィルジールは目を開けた。
「…………ルーチェ」
返事の代わりに聞こえてきたのは、規則正しい寝息だった。ルーチェの肩を借りて、ほんの少しの間だけ目を閉じていただけのつもりだったが、どうやら寝入ってしまっていたようだ。
その証拠に、今朝から続いていた頭痛が治っている。
恐る恐る体ごと寄せると、ヴィルジールの頭が肩にこてんと乗る。その重みと熱に、くすぐったいような、恥ずかしいような気持ちがあふれ、思わず両手で胸の辺りを押さえていたルーチェだったが、時間が経つにつれ呼吸は落ち着いていった。
だが、胸の鼓動だけは忙しなく動き続けていた。
眠るヴィルジールを起こさないよう、ルーチェは静かに読書をしていたが、二冊目を読み終えた辺りで睡魔に襲われた。
ここで自分が寝て、身体が傾こうものならば、ヴィルジールの休息を邪魔してしまうかもしれない。だから頑張って起きていなければと思い、頬や手の甲を抓ったり、魔法学の本を開いてみたりと色々試みたが、どれも睡魔に勝つことはできなかった。
──細くしなやかな手から、本が滑り落ちる。その音でヴィルジールは目を開けた。
「…………ルーチェ」
返事の代わりに聞こえてきたのは、規則正しい寝息だった。ルーチェの肩を借りて、ほんの少しの間だけ目を閉じていただけのつもりだったが、どうやら寝入ってしまっていたようだ。
その証拠に、今朝から続いていた頭痛が治っている。


