「この力は、聖女の力と同じなのでしょうか」
「聖女の力も、聖王の力も、ともに聖者の力とマーズでは呼ばれている。その力は闇を祓い光を生む、特別なもの。僕は加護を授かった時に、一片である導きの光を得たけれど、聖女である貴女はそれ以上の力を使えるはずだ」
ルーチェはヴィルジールの傷を癒し、辺りに光の粒子を降らせた時のことを思い出した。
あの時、ルーチェは魔力を失っていたというのに、魔法のような力を使うことができていた。ノエルの言葉からすると、あれは魔法ではなく聖者の力だったのだろう。
「……ノエルさんはどのようにして、その力を使うのですか?」
ノエルはルーチェが抱える本から手を離すと、ルーチェとの距離を詰めるように間近にやってきた。
「なら、目を閉じて」
「は、はい」
言われた通りに目を閉じると、まわりの空気が何かをささやきかけるように揺れだした。胸の奥に灯る熱が、ぶわりと全身に広がっていくのを感じる。
あたたかくて、懐かしくて、けれども切ない。この感じを、ルーチェは知っている。
「今から僕が言うことを、よく聞いていて」
こつん、と額と額が合わさる感触がして、ルーチェは思わず息を呑んだ。
「触れて、想って──そして光を求めよ。聖王様はそう仰った」
「………っ!」
聞き覚えのある言葉に、ルーチェは喉を鳴らした。
「聖女の力も、聖王の力も、ともに聖者の力とマーズでは呼ばれている。その力は闇を祓い光を生む、特別なもの。僕は加護を授かった時に、一片である導きの光を得たけれど、聖女である貴女はそれ以上の力を使えるはずだ」
ルーチェはヴィルジールの傷を癒し、辺りに光の粒子を降らせた時のことを思い出した。
あの時、ルーチェは魔力を失っていたというのに、魔法のような力を使うことができていた。ノエルの言葉からすると、あれは魔法ではなく聖者の力だったのだろう。
「……ノエルさんはどのようにして、その力を使うのですか?」
ノエルはルーチェが抱える本から手を離すと、ルーチェとの距離を詰めるように間近にやってきた。
「なら、目を閉じて」
「は、はい」
言われた通りに目を閉じると、まわりの空気が何かをささやきかけるように揺れだした。胸の奥に灯る熱が、ぶわりと全身に広がっていくのを感じる。
あたたかくて、懐かしくて、けれども切ない。この感じを、ルーチェは知っている。
「今から僕が言うことを、よく聞いていて」
こつん、と額と額が合わさる感触がして、ルーチェは思わず息を呑んだ。
「触れて、想って──そして光を求めよ。聖王様はそう仰った」
「………っ!」
聞き覚えのある言葉に、ルーチェは喉を鳴らした。


