嬉しくて涙が出てきたのも、この言葉も全部忘れていたんだ…。


「私も、…が」


記憶の途中で、足元が急に崩れ深い底に沈んでいく感覚に襲われる。

ああ、夢が終わる。

せっかく思い出しかけていたのに。

尚人との大切な思い出。

告白をされた日のことを…。


「…っ」


目を開けると、そこはいつもの病院のベッドだった。

ふと、自分が涙を流していることに気づく。

少しだけだけど、記憶を思い出すことができた。

私は一体他にどんな記憶を忘れてしまっているのだろう…。