–––「花楓が俺のことを忘れないように。そう願いを込めたんだ」
「…っ」
まただ。この声…この前よりもはっきりと鮮明に私の耳に響く、優しい誰かの声。
尚人のものじゃない。
もう少し高くて優しくて落ち着く、大好きだった男の人の声…。
「柴宮さん?どうかした?」
いつもの看護師の人が、心配そうに顔を覗き込んできた。
「あ、いえ…少し考え事を」
「そう。今日退院するって聞いて、急いできたの。その花の名前を教えに」
看護師の人が私の手に握られているしおりを指差して優しく微笑んだ。
「この花の名前、わかったんですか!?」
「ええ。意外と有名だったわ。その花の名前はね、勿忘草。花言葉は、“真実の愛”。それと…“私を忘れないで”」
どくんと心臓が、激しく反応した。
どうして、今まで忘れてしまっていたんだろう。
「…っ」
まただ。この声…この前よりもはっきりと鮮明に私の耳に響く、優しい誰かの声。
尚人のものじゃない。
もう少し高くて優しくて落ち着く、大好きだった男の人の声…。
「柴宮さん?どうかした?」
いつもの看護師の人が、心配そうに顔を覗き込んできた。
「あ、いえ…少し考え事を」
「そう。今日退院するって聞いて、急いできたの。その花の名前を教えに」
看護師の人が私の手に握られているしおりを指差して優しく微笑んだ。
「この花の名前、わかったんですか!?」
「ええ。意外と有名だったわ。その花の名前はね、勿忘草。花言葉は、“真実の愛”。それと…“私を忘れないで”」
どくんと心臓が、激しく反応した。
どうして、今まで忘れてしまっていたんだろう。

