がばっと勢いよく抱きつかれ、わけがわからなくて頭は混乱するばかり。


「あ、ごめん。事故の影響で今、記憶喪失なんだっけ?てことは私のこともわからないよね…?」

「えっと、うん…。ごめん」

「いいよ、謝らなくて。私は、花楓と中学が一緒だった友達の原麻里香(はらまりか)。中三で初めて同じクラスになって、よく遊んだり一緒にいたりして仲良かったんだよ」

「そうなんだ」


初めて尚人以外の私を知る友達と会えた。


「じゃあ私のことも知ってるの?」

「そりゃもちろん。高校は違うけど、定期的に遊ぼうねって約束したんだよ。それなのに事故に遭ったって聞いて、本当心配だったんだから。だけど元気そうで良かった。神谷のこともあって、落ち込んでると思ってたから」

「…え?」

「あ、ごめん…!記憶ないから、神谷のこともわからない、か…」

「…ううん、私の彼氏、なんだよね?教えてもらったからわかるよ」

「え?そうなの?じゃあなんでそんなに…」

「花楓」


ぐいっと腕を掴まれ、戻ってきた尚人に引っ張られる。