スマホが使えれば、少しは今までの私についてもわかるかもしれないと思ったのに。

ふと、目の前を白いちょうちょが通り過ぎていき顔を上げる。

ちょうちょは黄色いチューリップのうちの一つにひらひらと舞い降りていった。


–––「俺にお似合いの花だよな」


「…っ」


頭の中に尚人の声が響き、またあのちくっとした頭痛に襲われた。

…そうだ。尚人と黄色いチューリップを見たことが前にもあった気がする。

その時に尚人は自分にお似合いの花だと言っていた…？

あの時の私には意味がわからなくて、でも…。


「花楓…？」


ひょこっとポニーテールの制服姿の女の子に顔を覗き込まれ、驚いて思わずのけぞる。

小柄な身長の彼女は、くりっとした二重で私をじーっと見つめてきた。


「やっぱり！花楓じゃん！事故に遭ったって聞いて、連絡してたんだけどなかなか繋がらないからずっと心配してたんだよ！」

「え、えっと、あの…」