「…は!?誰が、あんたになんて告白するわけ!?」


がたっと思わず勢いよく立ち上がったせいで、椅子が倒れてしまった。


「隠すなよ。さっきのダンクでさらに俺に惚れ直したんだろ?糸瀬は素直じゃねぇからなー。こっちから機会を与えないと一生気持ち伝えられないんじゃねぇの?」

「心配しなくても、あんたのことなんて絶対に好きにならないから。告白なんてするわけがないでしょ」


ぎろりと鋭く睨みつけると、黒瀬は肩をすくめながら「はいはい」と行ってしまった。


「まーた黒瀬くんと痴話喧嘩しちゃって。綾乃も素直になればいいのに」


起こした椅子に座り直していると、一連の流れを見ていた夏芽が苦笑しながらプチトマトを口の中に入れていた。


「…ちょっと、トイレ行ってくる」


そんな夏芽から逃げるようにして、女子トイレに駆け込む。

個室に入り鍵をかけると同時に、深い深いため息をつく。


「私、なんであんなこと言っちゃったの!?うう、いつもこうなっちゃう…っ」


ぶわっと溢れてきた涙により視界がぼやける。