「…迎えが来てるから、大丈夫。気をつけて帰れよ」
黒瀬のあんなに悲しそうに笑う顔、初めて見た。
「綾乃?」
ひょこっとハルくんが顔を覗き込んできて、ハッと我に返る。
「…そういえば、ハルくんどうしたの?帰る約束はしてなかったよね?」
朝はお母さんに言われて、両親の仕事の都合で海外に行っていた幼なじみであるハルくんが同じ学校に転校してくるから、何かと不便だろうからって学校まで一緒に登校した。
元から顔が良かったけど、もっと成長してイケメンになったハルくんは、一緒に歩いているだけで周りからの視線をたくさん感じて居心地が悪かった。
まあそれも黒瀬の顔には敵わないけど。
「綾乃なら傘持ってるかなーって思って。そういうところしっかりしてるだろ?」
「ああ、傘…」
この傘は、黒瀬とまた一緒に帰る口実になればと思ったんだけど…。
黒瀬と初めて話した、あの雨の日を思い出す。
◆
六月。梅雨真っ只中のある日。
黒瀬のあんなに悲しそうに笑う顔、初めて見た。
「綾乃?」
ひょこっとハルくんが顔を覗き込んできて、ハッと我に返る。
「…そういえば、ハルくんどうしたの?帰る約束はしてなかったよね?」
朝はお母さんに言われて、両親の仕事の都合で海外に行っていた幼なじみであるハルくんが同じ学校に転校してくるから、何かと不便だろうからって学校まで一緒に登校した。
元から顔が良かったけど、もっと成長してイケメンになったハルくんは、一緒に歩いているだけで周りからの視線をたくさん感じて居心地が悪かった。
まあそれも黒瀬の顔には敵わないけど。
「綾乃なら傘持ってるかなーって思って。そういうところしっかりしてるだろ?」
「ああ、傘…」
この傘は、黒瀬とまた一緒に帰る口実になればと思ったんだけど…。
黒瀬と初めて話した、あの雨の日を思い出す。
◆
六月。梅雨真っ只中のある日。

