「好き」って言って

って、俺は!なんてことを!言っているんだー!


「…何それ。別にそんなつもりじゃないのに」

「え、あ、いや…」


慌てて謝ろうとするも、糸瀬はぷいっと怒ったように顔を背けると、戻ってきた夕暮の元に行ってしまった。

や、やってしまった…!

素直になると意気込んだのに、俺はなんで思ってもいないことを言ってしまったんだろう…。

大馬鹿者だ。

ふと、空からぽつぽつと雨が落ちてきて頰を濡らした。


「うわ、雨?まだゴミ捨て行ってないのに…」

「早くゴミ集めて、じゃん負けでゴミ捨ての人決めよ」


わたわたとゴミ袋にゴミを集めていた糸瀬やクラスメイトたちの元へ歩いていく。


「…俺が行くから、みんなはもう帰っていい」

「…え?黒瀬が行ってくれんの?」


驚いたように聞き返してくる夕暮に頷き、ゴミ袋を奪い取るようにして取ると背を向け歩き出す。