「好き」って言って

「へぇ。こっちに帰ってきて早々、糸瀬と同じ学校にやってきて一緒に登校ねぇ…」

「た、たまたまなんじゃねぇかな!?たまたま同じ高校になったから、幼なじみである糸瀬さんが学校まで道のわからない高坂先輩のために迎えにきたんだよ。うんうん、絶対そう」


自己完結しながら、昼飯を再び食い出した光輝はもうこれ以上この話はしたくないと思っている様子だった。

糸瀬により嫌われているこのタイミングで、幼なじみの男が登場するとか反則すぎだろ。

幼なじみで昔から糸瀬のことを知っているくらいなんだから、絶対糸瀬のことが好きに決まっている。

これは早急に糸瀬と仲良くなって、俺を好きになってもらうしかない。


「糸瀬に好きって言わせるんだ」

「…あのさ、前々から思ってたんだけど、もうおまえが糸瀬さんにコクっちゃえばいいんじゃねぇの?さすがに嫌いというか、苦手な男子から告白されても多少は意識するだろ。それが一番手っ取り早い気がするんだけど…」

「ダメだ。だってそんなの絶対に振られるに決まってるだろ。俺の心が折れるには十分だからな。確証がないのに告白なんてできるわけがない。だから、糸瀬から好きって言われるためにも俺を好きにさせるんだ」

「はー、本当、いつもは俺様で強気なくせに好きな子が絡むとビビりになるんだからー。この姿を糸瀬さんにも見せてあげたいよ」

「うるせぇ」


こんな姿見せたらもっと糸瀬に嫌われるだろうが。

優しくて王子様みたいな性格に今からなることは難しいけど、少し素直になることくらいならできる。

まずは自分の気持ちを糸瀬に伝えるところから始めるんだ!