「好き」って言って

優しくしないで=話しかけないでと言われたようなものなのに。

しつこい男だと思われるか?

ああ、でも、朝から糸瀬に会えて嬉しかったんだし仕方ないよな!?

太陽にも負けないくらい今日も可愛いくて眩しい…。


「…ああ。たしかに私も佐原くんのこと見かけたことある。こっちに来たのは、この辺に住んでる幼なじみに用があって…」

「綾乃!」


色素の薄いふわふわの髪をなびかせて、笑顔が人懐っこい眩しい男が片手を上げて糸瀬の名前を呼んだ。


「じゃあ、私行くね。また学校で」

「え、あ、ああ…」


糸瀬はスタスタと男の元へ歩いていくと、そのまま並んで一緒に学校へ行ってしまった。

………え?



「あの男は、誰だー!」

「うお、なんだよ。急に叫ぶな」


昼休み、十月中旬を迎えて肌寒くなってきたからか、屋上で飯を食うやつは誰もいなく、俺と光輝の二人きりだった。