「…え?」

「それが私からのお願い。少し寝たいから、もう行ってくれる?」


黒瀬は驚いたように目を見開き、それからしばらくして何も言わずに保健室を出て行った。

黒瀬が優しくしてくれるたびに、そんなわけないのに「もしかしたら黒瀬も同じ気持ちなんじゃ…」と私は自惚れてしまいそうになる。

それが嫌だった。

期待して傷つく未来が目に見えていたから。

私は知っている。

黒瀬にはとても美人なモデルの元カノがいることを。

私なんかじゃ絶対に黒瀬の好きな人にはなれないことを…。