「好き」って言って

「ずっとここにいたから」


…え?てことは、勝負がかかっている大事な試合を放棄してまで、私のそばにいてくれたってこと?


「…バカじゃん」

「はあ!?バカってなんだよ。いちゃ悪いか!」


バカだよ。私なんかのためにそこまでしてくれるなんて…。

嫌われてると思っていたけど、少しは気にかけてくれているのかななんて思っちゃうじゃん。

嬉しくなっちゃうでしょ、バカ…。


「約束だったからな。なんでも一つ、言うこと聞いてやるよ」

「…えーどうしようかな」


赤くなってるかもしれない顔を毛布で隠しながら、ちらりと黒瀬を見上げる。

黒瀬は「ん?」と優しく微笑みながら、私の答えを待っている。

さっきまでは不機嫌そうだったくせに、急にそんな優しい顔して笑わないでよ。

なんだか今日の黒瀬は、いつもより私に優しい気がする。

…それが、私にとっては苦しい。


「…私に優しくしないで」