「好き」って言って

「そうだ、綾乃が起きたら教えてって先生に言われてたんだ!私、呼んでくるね」

「俺も行くー」

「え、あ…」


夏芽と佐原くんが保健室を出て行き、黒瀬と二人きりに取り残される。


「なんであんな危ないことしたんだよ」

「…え?あー…体が勝手に動いてただけ」

「だとしてももっと方法があっただろ。当たり前のように自分のこと犠牲にしてんじゃねぇよ」


なぜか黒瀬はものすごく不機嫌そうに、腕を組んで睨みつけてきた。


「…なんでそんなに怒ってるの?」

「怒ってねぇ」


いや、怒ってるじゃん、と心の中で突っ込みながらわけがわからなくて首を傾げる。


「あ、そういえば、勝負はどうなったの?」

「…糸瀬の勝ちだ。俺は試合に出てねぇから」

「…え!?なんで?」