ハッと我に返りやっと足が動いた。
相手に渡ってしまったボールを追いかけようとするが、残り時間を見て顔を歪めていた先輩が、慌てたように持っていたボールをふと夏芽の方に向かって勢いよく投げた。
驚いて目を見開く夏芽に、叫ぶよりも先に体が動いていた。
庇うようにして前に間に入った私にボールは勢いよく当たり、その衝撃でその場に倒れ込む。
きっと時間がないことに焦って、ゴール前にいた他の先輩にパスを渡そうとしたけど手を滑らせてゴールを守るようにして立っていた夏芽に向かって投げてしまったのだろう。
「綾乃!」
夏芽の叫ぶ声が聞こえてきたが、私の意識はだんだんと薄れていった。
*
「…なせ。あいつら、絶対許さねぇ。今すぐここに連れてきて土下座させてやる」
「落ち着けって零。これ以上怪我人増やしてどうすんだよ」
「ねえ!綾乃が今動いたよ!綾乃!私のことわかる!?」
私の顔を、黒瀬、佐原くん、夏芽の三人が覗き込んできた。
「…みんな、どうしたの?」
ここはどこだろうと頭を働かせ、さっきまでバスケの試合をしていたことを思い出す。
相手に渡ってしまったボールを追いかけようとするが、残り時間を見て顔を歪めていた先輩が、慌てたように持っていたボールをふと夏芽の方に向かって勢いよく投げた。
驚いて目を見開く夏芽に、叫ぶよりも先に体が動いていた。
庇うようにして前に間に入った私にボールは勢いよく当たり、その衝撃でその場に倒れ込む。
きっと時間がないことに焦って、ゴール前にいた他の先輩にパスを渡そうとしたけど手を滑らせてゴールを守るようにして立っていた夏芽に向かって投げてしまったのだろう。
「綾乃!」
夏芽の叫ぶ声が聞こえてきたが、私の意識はだんだんと薄れていった。
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「…なせ。あいつら、絶対許さねぇ。今すぐここに連れてきて土下座させてやる」
「落ち着けって零。これ以上怪我人増やしてどうすんだよ」
「ねえ!綾乃が今動いたよ!綾乃!私のことわかる!?」
私の顔を、黒瀬、佐原くん、夏芽の三人が覗き込んできた。
「…みんな、どうしたの?」
ここはどこだろうと頭を働かせ、さっきまでバスケの試合をしていたことを思い出す。

