「好き」って言って

たしか次の決勝は三年生とあたるはずだったけど、きっとこの人たちなんだと察する。


「決勝が楽しみだね。黒瀬くんとも仲がいいみたいだけど、あんたとじゃ釣り合わないことをみんなに知らしめてやる」


笑いながら去っていった三人に、夏芽が「何あれ」と呟いていた。


「あの人たち、黒瀬のファンなんだと思う。さっき差し入れして断られてるの見たよー」

「しかもここまで勝ち進んできたのも、審判に気づかれないくらい小さな嫌がらせを試合中ずっと続けるっていう汚い手を使ってらしいよ!三年生だから、みんな報復が怖くて何も言えないみたいで。だから糸瀬さんたちも気をつけてね」


クラスメイトの女子たちがわらわらと体育館に入ってきた。


「うちらはみんな全滅。男女とも残ってるのはバスケだけだから、応援しにきたよ」

「卑怯な先輩たちなんかに糸瀬さんたちが負けるわけないよ!」


クラスメイトたちの温かい言葉に、嬉しくて自然と笑顔がこぼれていた。


「ありがとう」


ぽかーんとなぜか驚いたように目を見開いているみんなに、きょとんと不思議に思って首を傾げる。


「どうかした?」