追いかけてきた夏芽が私の顔を覗き込んできた。
「…うん」
「綾乃は勝ったとしたら黒瀬くんに何を言うかもう決めてるの?」
「いや、まだ」
なんて、本当はもう決めてある。
勇気を出して“連絡先を交換したい”と言うつもりだ。
これを機に少し素直な私になって、私を少しも恋愛対象として見ていないだろう黒瀬に意識してもらうんだ。
だからこそこの勝負、絶対に勝たなくてはいけない。
「あんたが糸瀬綾乃?」
バスケの次の試合が始まるまでまだ十分くらい時間があるため、体育館の隅っこで夏芽とバレーの試合を見ていると突然三人組の女子生徒が目の前に立ちはだかってきた。
上履きの色が赤だから、多分三年生だ。
「はい、そうですけど」
「噂によると完璧美人とか言われてるんだって?別に大したことないじゃん」
「周りが過大評価しすぎなんだって。次の決勝でボロ負けさせて恥かけばいいのよ」
クスクスと三人が馬鹿にしたように笑ってきた。
「…うん」
「綾乃は勝ったとしたら黒瀬くんに何を言うかもう決めてるの?」
「いや、まだ」
なんて、本当はもう決めてある。
勇気を出して“連絡先を交換したい”と言うつもりだ。
これを機に少し素直な私になって、私を少しも恋愛対象として見ていないだろう黒瀬に意識してもらうんだ。
だからこそこの勝負、絶対に勝たなくてはいけない。
「あんたが糸瀬綾乃?」
バスケの次の試合が始まるまでまだ十分くらい時間があるため、体育館の隅っこで夏芽とバレーの試合を見ていると突然三人組の女子生徒が目の前に立ちはだかってきた。
上履きの色が赤だから、多分三年生だ。
「はい、そうですけど」
「噂によると完璧美人とか言われてるんだって?別に大したことないじゃん」
「周りが過大評価しすぎなんだって。次の決勝でボロ負けさせて恥かけばいいのよ」
クスクスと三人が馬鹿にしたように笑ってきた。

