「はぁ?なに言ってんの颯太ってば…!」 「春乃はいつもそうやってはぐらかす…。」 そこには、いつものふざけた颯太はいなかった。 私は少しドキッとした。 いつも冗談みたいに私にからんでくる颯太は、時々こうやって真剣な表情を見せる。 その度に私は、胸の鼓動が早くなるのを感じる。 そして、昔から仲の良いやんちゃな男の子が、ひとりの男性になっていることに気付かされる。 「なぁ〜んてな!冗談だぜ春乃!んな顔すんなよ〜!」 重い沈黙にたえられなくなったのか、颯太が大げさに私の肩を叩いた。