あなたの家族になりたい

 農協に着いたら、俺はやることがないから待合室のベンチへ。澪はカウンターのところで書類を出して職員とあれこれ話している。

 ……なんつーか、しっかりしたな。

 前はおどおどしてたのに、今は穏やかに笑って人とやり取りしてる。
 夜も積極的、というか甘えたがりだ。年上のお姉さんって感じは、ない。たまに年上ぶりたがるけど、すぐ腰が砕けちまって、まあそれがかわいいんだけど。

 そんなこと考えてたら、澪がパタパタこっちに来た。

「お待たせしました。今確認をしてもらってるので、もう少しお待ちください」

「わかった。買い出しってどこ行くんだ?」

「近くのスーパーです。来週分の食材をまとめて買いたくて。あと米とか油とか、重たいのが一気になくなってしまったので、買いたいです」

「了解」

「あと、お義母さんがアイス買ってきてってお小遣いくれました」

「マジか、やった」

「これ、やりたいんです」

 澪がスマホを取り出して、ドヤ顔で画面を見せてきた。
 そこにはコーヒーゼリーにバニラアイスを混ぜたものが映っている。

「コーヒーゼリーはさっき作って冷蔵庫で冷やしてます。あと、バニラアイスにコーヒーをかけて、なんちゃってアッフォガードもしたくてですね……」

「全部やろう」

 アイスのデザートの話で盛り上がってたら、カウンターから呼ばれた。

「書類を受け取るだけなので、すぐ終わると思います。行ってきますね!」

 またパタパタとカウンターに行く澪の背中を見送った。

「……これもうまそうだな」

 スマホであれこれ調べる。メロンに生クリームとアイスを乗せるやつやりてえな。
 しかし、すぐ終わると言った澪はなかなか戻らない。