「なんかさ、やっと終わったって感じだな」
ある日の放課後、兼保健室には私と依桜さんと姫華さんが集まっていた。
安西先生は今はちょっと怪我人が来たらしくて保健室で手当てをしている。それが終わったら来てくれるらしい。
「わかる。私も最近そんな気がしてた」
そろそろ夏が終わる頃、最近になって兼保健室に風鈴を飾る事にしたのにちょっと季節がずれちゃったよ……。
風が吹けばチリンチリンッと音がするのを聞きながら私は依桜さんの言葉に同意する。
「何言ってるの二人とも!まだまだ始まったばっかりだよ!」
今日は珍しくポニーテールをしている姫華さんは髪の毛を揺らしながら思いっきり座っていた椅子から立ち上がった。
「もう夏は終わっちゃうけど、高校生活はこれから!」
姫華さんは夏よりも冬の方が好きならしくてやっと夏が終盤になってきたので嬉しいらしい。
「そういう事じゃねーよ」
「違うの?」
「てっきり夏が終わったって感じがしてるのかと思った」と言いながら椅子に座り直した姫華さん。
私は依桜さんの方を見ると依桜さんも私の方を向いてくれた。
"あの事は二人だけの秘密"そう口が動いた気がした。
右手の人差し指を口の前に持っていく動作と一緒に口が動いたので私は小さく頷いた。
河川敷で話した事は誰にも言わないって事だと思う。
私的にもおばあちゃんの事が色々な人に知られてしまうのは避けたいから。
依桜さんとアイコンタクトを交わすとなぜか違うところから視線を感じた。
すぐにその視線のした方を見ると不思議そうに眉を寄せていた姫華さんと目が合う。
どうしたんだろう?そんなにも難しそうな顔して……?
「やっぱりさ、二人何かあったでしょ?」
「な、何かって……」
私達は結構いつも通りだと思うんだけど……。
怪しげな目をしながら私と依桜さんを交互にじっくりと見ている姫華さん。
「なんだか距離が縮まった気がする。だってさっき杏奈ちゃん依桜にタメ口だったもん!」
そう言われて私ははっとした。
そう言えばあの日の河川敷で敬語なんて他人行儀だから敬語をやめてと依桜さんに言われてから依桜さんと話す時は敬語を外していた。
結構慣れてきていたから忘れてた……。
それに……、
「だって俺達"付き合ってる"し」
「え、え〜っ⁉︎」
い、言っちゃった……。なんだかそうやって改めて言われると恥ずかしいなぁ。
あの日の河川敷で告白をしてもらって私達は付き合う事になったのだ。
涙でぐちゃぐちゃになった後の顔でだったから全くロマンチックさはなかったけど、それでも依桜さんと同じ気持ちだったとわかってどうしようもないくらい嬉しかった。
姫華さんは喉を痛めるんじゃないかと心配になるくらい大きな声を上げて驚いている。
「うるさい、そんなに叫ぶな」
依桜さんもびっくりしたのか耳を押さえて眉間にしわを寄せている。
「ごめんごめん。まさか二人が付き合う事になるなんて……。てかなんでもっと早く言ってくれなかったのよ!」
「別にそんな言いふらす事でもないだろ。それに、杏奈は俺の事情を知ってくれてる」
さっきとは違ってふわっと笑ってくれた依桜さん。
「そっか、それなら良かった。私もやっと依桜をクズに仕上げる手助けをしなくて済むってわけね!」
姫華さんは詳しい依桜さんの事情は知らないと言っていたけど、依桜さんのためにそうやって動けるのは簡単にできる事じゃないからすごいと思う。
「今までありがとな」
「また美味しいもの奢ってね〜」
そう言って二人は笑っていた。まるで小さい子供のような無邪気な笑顔で。
ある日の放課後、兼保健室には私と依桜さんと姫華さんが集まっていた。
安西先生は今はちょっと怪我人が来たらしくて保健室で手当てをしている。それが終わったら来てくれるらしい。
「わかる。私も最近そんな気がしてた」
そろそろ夏が終わる頃、最近になって兼保健室に風鈴を飾る事にしたのにちょっと季節がずれちゃったよ……。
風が吹けばチリンチリンッと音がするのを聞きながら私は依桜さんの言葉に同意する。
「何言ってるの二人とも!まだまだ始まったばっかりだよ!」
今日は珍しくポニーテールをしている姫華さんは髪の毛を揺らしながら思いっきり座っていた椅子から立ち上がった。
「もう夏は終わっちゃうけど、高校生活はこれから!」
姫華さんは夏よりも冬の方が好きならしくてやっと夏が終盤になってきたので嬉しいらしい。
「そういう事じゃねーよ」
「違うの?」
「てっきり夏が終わったって感じがしてるのかと思った」と言いながら椅子に座り直した姫華さん。
私は依桜さんの方を見ると依桜さんも私の方を向いてくれた。
"あの事は二人だけの秘密"そう口が動いた気がした。
右手の人差し指を口の前に持っていく動作と一緒に口が動いたので私は小さく頷いた。
河川敷で話した事は誰にも言わないって事だと思う。
私的にもおばあちゃんの事が色々な人に知られてしまうのは避けたいから。
依桜さんとアイコンタクトを交わすとなぜか違うところから視線を感じた。
すぐにその視線のした方を見ると不思議そうに眉を寄せていた姫華さんと目が合う。
どうしたんだろう?そんなにも難しそうな顔して……?
「やっぱりさ、二人何かあったでしょ?」
「な、何かって……」
私達は結構いつも通りだと思うんだけど……。
怪しげな目をしながら私と依桜さんを交互にじっくりと見ている姫華さん。
「なんだか距離が縮まった気がする。だってさっき杏奈ちゃん依桜にタメ口だったもん!」
そう言われて私ははっとした。
そう言えばあの日の河川敷で敬語なんて他人行儀だから敬語をやめてと依桜さんに言われてから依桜さんと話す時は敬語を外していた。
結構慣れてきていたから忘れてた……。
それに……、
「だって俺達"付き合ってる"し」
「え、え〜っ⁉︎」
い、言っちゃった……。なんだかそうやって改めて言われると恥ずかしいなぁ。
あの日の河川敷で告白をしてもらって私達は付き合う事になったのだ。
涙でぐちゃぐちゃになった後の顔でだったから全くロマンチックさはなかったけど、それでも依桜さんと同じ気持ちだったとわかってどうしようもないくらい嬉しかった。
姫華さんは喉を痛めるんじゃないかと心配になるくらい大きな声を上げて驚いている。
「うるさい、そんなに叫ぶな」
依桜さんもびっくりしたのか耳を押さえて眉間にしわを寄せている。
「ごめんごめん。まさか二人が付き合う事になるなんて……。てかなんでもっと早く言ってくれなかったのよ!」
「別にそんな言いふらす事でもないだろ。それに、杏奈は俺の事情を知ってくれてる」
さっきとは違ってふわっと笑ってくれた依桜さん。
「そっか、それなら良かった。私もやっと依桜をクズに仕上げる手助けをしなくて済むってわけね!」
姫華さんは詳しい依桜さんの事情は知らないと言っていたけど、依桜さんのためにそうやって動けるのは簡単にできる事じゃないからすごいと思う。
「今までありがとな」
「また美味しいもの奢ってね〜」
そう言って二人は笑っていた。まるで小さい子供のような無邪気な笑顔で。



