次の日になって、やっぱり昨日の依桜さんが気になって私は依桜さんの家に行ってみる事にした。


家は無理言って担任の先生に教えてもらって。


依桜さんの家は学校から結構離れていて時間がかかったけど、道を歩いている途中にある河川敷の川が綺麗で楽しみながら歩くことができた。


「ここ、かな……?」


先程まで住宅地が広がっていたのに、一つ通りを抜けると急に静かになってしまって心細くなってしまったけど歩き続けたら依桜さんの家に着いた。


不知火という表札があるし間違いないはず。


そう思って勇気を振り絞りインターホンを押そうと思った時、家の中からガシャンッという大きな音がしてインターホンを押す手を止める。


「なんの音……?」


びっくりして家の方を見ると思いっきり家の扉が開いた。


「依桜さん⁉︎」


扉が開くと同時に投げ出されたように家の中から出てきたのは依桜さんだったのだ。


依桜さんは顔から血が出ていて結構深そうな傷を負っていた。


「えっ?杏奈?どうしてここにいるの?」


私もびっくりしたけど依桜さんは私の比じゃないくらい驚いていた。


「昨日の依桜さんが少し気になって、先生に家を聞いて来ちゃいました」


タイミングがまずかっただろうかと内心ヒヤヒヤしているとなぜか依桜さんの顔には笑顔が浮かんでいた。


笑ってる……?


「そっか。じゃあ俺に会いに来てくれたんだね」


「ど、どストレートに言わないでくださいっ」


なんだかこっちが恥ずかしくなっちゃうよっ……。


呑気そうな依桜さんを見て少し安心しつつ昨日のは私の勘違いだったのかなと思っていると、急にお皿が私の顔を掠めた。


「えっ……?」


ブロック塀にあたり大きな音を鳴らしながら割れたお皿を見て私はすぐにこのお皿は依桜さんの家の中から飛んできたものだと理解した。


「依桜そいつ誰?なんでこんなところにいるのよ」


扉が開いた家の中から一人の女の人がゆっくりと歩いてくる。


誰……?あの人……。


髪も乱れて痩せ細った女の人。


生気が感じられずにただただあの人はやばい人だと直感が訴えて来る。


私は怖くて足が動かなかった。


さっきのお皿、もし当たっていたらどうなってたの?もし頭に当たっていたら?


そう思うだけでもゾッとしてサーッと血の気が引いていくのがわかる。


「杏奈、ちょっと走るよっ」


動けずにいるとすぐに依桜さんが家の扉を閉めて私の手をとって走り出した。


「は、はい……っ」


もつれそうになる足をなんとか動かして転けないよう気をつけながらただがむしゃらに私達は走った。