「さっきシャツが濡れて透けてたじゃん？その時、俺の体のアザ見えたよね……？」


「えっ？」


聞かないようにしようと思っていたのに、依桜さんから言われたら言ってもいいのかな？


最初は迷ったけど依桜さんからの質問だったから答えてもいいかなと思った。


「はい……体の至る所にアザがあったのが見えました。あれは、女の人の彼氏さんに殴られたものなんですか？」


「なんて言うかな……殴られたのは本当なんだけど、人が違うというか……」


「人が違う？」


珍しく言葉を濁した依桜さん。


「うんん。やっぱりなんでもない。ごめんね」


何か言いかけたけど、すぐに口を閉じてしまった。


「そう、ですか……」


聞きたいという気持ちと聞いちゃいけないという気持ちが頭の中を行き来してぐちゃぐちゃになってしまって潔く諦める事にした。


「じゃあ俺はそろそろ行くね。本当に今日はありがとう」


そう言ってベッドから立ち上がった依桜はそのまま保健室を出ていった。


依桜さんなんか様子がおかしかった気がする……。


いつもならもっと元気があるのに今日は全く元気がなかった。


何もないならいいんだけど、もし何かあるなら手助けできたらいいな。