それから私は姫華さんの後ろに着いていってこのコスメいいよね!このコスメは私は合わなかったなぁと話しながら一時間くらい話していた。


「杏奈ちゃんは本当に何も買わなくていいの?」


このお店を二人が満足するまで堪能した後、姫華さんは何個かのコスメを手に持ちながら言った。


「私が欲しかったコスメは高くて手が出ませんでした……」


「そういう事ね」


本当に可愛いパレットだったのにな……。


仕方なかったとはいえ、まだ買いたいと言う気持ちは残っていた。


「じゃあ私コスメ買ってくるね!」


「はいっ!」


姫華さんがレジに行ってしまったので私は依桜さんを探す事にした。


そういえば依桜さんは何してたんだろう?


私達はコスメに夢中になってしまっていて依桜さんの事をほったらかしてしまっていた。


店内をまわりながら依桜さんを探していると私がさっき諦めたアイシャドウパレットが置かれている場所にしゃがんでるところを発見。


あそこで何してるんだろう?


「依桜さん」


何かを真剣そうに見ていたのでそーっと声をかける。


「もう良かったの?すっごい真剣にいろんなの見てたけど」


「はいっ!すっごく楽しかったです!」


本当に姫華さんには感謝しかない。こんなにもいいコスメがあるんだもん!


「そっか。でも俺には何がいいのか全くわからなかったけど……」


そう言いながらよいしょと立ち上がった依桜さん。


「コスメが好きな人じゃないとあまり楽しくないかもです。すみません何も考えずにはしゃいじゃって……」


「全然大丈夫だよ。めっちゃ楽しそうな顔が見れたし」


クスッと笑いながら私の方を向いた依桜さんは楽しそうだった。


「えっ!嘘っそんなに楽しそうにしてましたか?」


「うん、してたよ」


恥ずかしい……。あまりお店に足を運ぶ事がないからつい浮かれてしまった……。


恥ずかしく思っているとお会計を済ました姫華さんが戻ってきたので私は抱きつく思いで姫華さんに駆け寄る。


「どうしたの?杏奈ちゃん」


「な、なんでもないです……」


クスクス笑っている依桜さんと恥ずかしがってる私。姫華さんからみたらよく状況がわからなかったと思うけど、今は恥ずかしくてそこまで頭が回らなかった。



「まぁ何かあったんだろうけど、そういう事は大体依桜が悪いから」


「はぁ?俺は悪くねーし」


「はいはい。そうですかー」


一日に何回言い合いをするのかなと思ってしまう程に言い合いをする二人を微笑ましく思いながら私ははもう一度あのアイシャドウパレットを見た。


やっぱり欲しかったな……あのパレット。