コンビニで私はアイスを依桜さんは缶コーヒーを選んで近くの公園のブランコに座った。


「いただきます!」


私が選んだのはソフトクリーム。依桜さんが選んだのはブラックコーヒー。


「まさかほんとに買ってくれるなんて思ってなかったよ。冗談で言ったのに」


「冗談だったんですか⁉︎でも私が買いたかったんです!だから特に何も思わないでくださいね!」


「そう?ありがとう」


そう言って缶コーヒーを開けた依桜さんに続き私もソフトクリームを一口頬張る。


うんっ!美味しいっ久しぶりに食べたなー。


夜風が気持ちいい具合に吹き、私はソフトクリーム片手にブランコを漕いだ。


「杏奈はまだ帰らなくてもいいの?」


ギコギコと音を立てるブランコに負けないくらいの依桜
さんの声が聞こえてきて私はブランコを止めた。


「私は……本当は帰らないといけないんですけど今はちょっとした反抗期なので……」


「何それっ」


クスクス笑いながら楽しそうにしている依桜さんは私と入れ替わりにブランコを漕ぎ出した。


「俺も今反抗期なんだよね、てか俺はずっと反抗期」


「そうなんですか?」


「うん。もう一回反抗期に入るとどうやって戻ったらいいかわからないよね」


そう言いながら少し寂しそうに笑った依桜さん。


何か、事情があるのかな……?


そう思ったけど他人が人の家庭に勝手に踏み込むわけにはいかないので何も言わないようにした。


「そろそろ帰る?」


少し静かになってしまった時に依桜さんが言った。


「そうですね」


まだ右手にはソフトクリームを持っていたけど歩きながら食べればいいし。と思いブランコから立ち上がる。


「結構暗くなっちゃったね、杏奈家まで送るよ?」


「大丈夫です!ここから近いですし」


「そう?」


「はいっ!今日はありがとうございました!」


公園を出たところで一度止まりお礼を言う。


「俺の方こそありがとね。明日は頑張れよ」


ニコッと微笑み私の頭の上に手を置いてまた頭を撫でてくれた。


「じゃあな」


「はいっ!また明日!」


歩き出した私を角が曲がって見えなくなるまで見送ってくれていた依桜さん。


角を曲がって依桜さんの姿が見えなくなると私は立ち止まった。


さっきの何⁉︎びっくりしちゃったよ!急に私の頭の撫でてくれたし……なんか、ドキッとした……。


なぜか熱を帯びている顔を手で風を送りながら冷やす。


「明日、私大丈夫かな……」


明日依桜さんを見つけたら目を逸らしちゃう気がする……っ


でも、依桜さんは多分特に何も考えずに私の頭を撫でてくれたんだよね!うん。きっとそうだよ!


なんとかそう自分に言い聞かせながらまた歩き出す。


手で仰いでも冷めない熱をソフトクリームを食べて冷ましながら–––。