犯人が大体わかるとすぐに姫華さんが動いてくれた。


すぐに愛莉さんに接触して少しそれっぽい事を言ったら私の事をいじめていたと自慢げに話していたらしい。


「ほんっと、最低なやつだったよ」


数日が経ってからまた兼保健室に集まった私達は姫華さんの話を聞いていた。


姫華さんの話を聞いて私はゾッとする。


私が少しだけ外で会っていただけなのにあんないじめをしてきていたって事はそれほど依桜さんの事が好きって事だよね。


さすが依桜さんとしか言えないけど、今はそこじゃない。


「というわけで、証拠も掴めたからここから反撃開始だよ!杏奈ちゃん!」


「反撃開始、ですか?」


「うんっ!」


前と変わらずルンルンな姫華さんはいつにも増して楽しそうだ。


「杏奈に変な事すんなよ」


「わかってるって!」


少し不機嫌そうにしながら眉を寄せている依桜さん。


何にそんなに機嫌を悪くしているのだろう?


そう思ったけど今回は言葉を飲み込んだ。


「まず、一ヶ月後に行われる文化祭のコンテストに出てあいつに恥をかかせます!」


前も言っていたけどその文化祭で行われるコンテストってどういうものなんだろう?


「あの、そのコンテストはどういう事をするんですか?」


「具体的に言うとこれは二人一組で行うもので一人の女の子をメイクや髪型、服などで可愛くプロデュースをするってものなんだけど、決着はそのコンテストを見ていた人達の投票によって決まるの!」


「そうなんですか……」


「私は毎年出てて毎回優勝してるんだけどね!」と言いながら可愛くウインクした姫華さん。


そんな事が毎年行われているんだ……。中学の時の文化祭ではそんな事しなかったから新鮮な気持ちになった。


「というわけで、私は杏奈ちゃんをプロデュースするから!」


「えっ⁉︎」


私がプロデュースしてもらう側なの⁉︎


姫華さんは毎年優勝しているって言っていたし、今年も出るのかと思っていたけど……私が出るの⁉︎


思いがけない言葉に私は戸惑いを隠せなかった。


「何驚いてるの?私が杏奈ちゃんをめっちゃ可愛くしてみせるからね!あっでも、私がするのは髪と服だけ。メイクは杏奈ちゃんがやった方が絶対綺麗だって安西先生が言ってたから!」


安西先生、また私大変な事になっちゃってますけど……。


よれより、私についてくれるなら今年は姫華さんはコンテストに出ないって事なのかな?


なんだか申し訳ない気持ちが湧いてきてなんと言ったらいいのかわからなかった。


「本当にいいんですか?私が出ても」


「もちろん!そのために私はこんなにも張り切ってるんだから!」


そこまで言ってくれているのに私が本気で取り組まなかったら姫華さんに失礼だよね。


「わかりました。ぜひやらせてくださいっ!」


やるからには全力でやろう!


そう気合いを入れて姫華さんとハイタッチをした。