紺碧のアステリズム




「本当にびっくりしたよ…。」



珠子の計らいで、店の裏ではあるが柊太と少し話せる時間をもらうことができた。格好悪いと頭を抱えて何度目かの溜め息をつく柊太の手にそっと触れる。



「ごめんね。 あんなに驚くなんて、思ってもみなかったの。」

「驚くよ。 だって桜、全然手紙…くれないじゃないか。 返事だって…。」



頭を抱え込む腕の隙間から、真っ赤になった耳が見える。

確かに定期的に手紙のやりとりをしていたが、急に祖父母の家に行くことが決まってから今日まで、柊太に手紙を書いていなかったことに気づく。返事も手紙を出すより直接会って話した方が早いと判断してのことだったが……



「拗ねてる?」

「拗ねてない。 …寂しかったけど。」



上目遣いで覗き込む姿は、まるで甘え足りない子犬のようだった。何でも聞いてあげたくなる気分にさせられて、導かれるままに顔を近づけ合う。

一度軽く触れた唇は、もう一度、今度は深く、長く重ねられた。



「…好きだよ桜。 会いたかった。」

「私も。」



私は祖母の家に療養に行っていたこと。そこで出会った人達のこと。それから始まった花選びのこと。会えない間にあった様々なことを話した。