紺碧のアステリズム




「《ははっ。 桜は何を言ってるんだ? 魔導はそんな万能じゃないよ。》」



レナードさんが笑い飛ばす。



「そう…?」



そうそうと頷くレナードさん。



「《な〜。 魔導の話より、僕は気導の話がいい! 桜は気導が使えるのか?》」

「《桜ちゃんは………》」



伯父が非常に申し訳なさそうに、言いづらそうに私を見るから、どんな話をしているかわかってしまった。伯父は母から、私の話を聞いていたのだろう。気を使ってくれるのはありがたいけれど、必要ないのにと笑い返す。



「伯父様も見せてあげては?」



伯父は参ったなぁと後頭部に手をやる。アダム君が見たい見たい!と跳びはね、他のみんなも身を乗り出す。



「《慈郎先生! 先生は、アズマに戻ればちゃんとしたものを見せてあげることができると言いました。 是非お願いします!》」



いつもツンツンしているラキアスが、珍しく前のめりだ。



「ん〜。 でもあれは家にあるから、今日はコレで。」



伯父は懐から、使い古された栞を取り出した。



「伯父様? 気導は刀を使うんじゃ…?」

「有事に備える必要性から昔から刀に籠められてきたけれど、思い入れが深い物とかでもできるよ。 要は神が宿っていればいいんだから。」



指で挟んだ栞が柔らかな光を放ち始める。



「気導で大切なのは、気の質も大切だけれど、物に宿る神の神格も大事だと言われている。 だから家宝の刀にはやはり敵わないけれど…。」



伯父は棚の引き出しから紙を取り出し、栞でそれを切るように撫でる。すると撫でた先から紙が破ていく。



「《おおおお〜!》」



アダム君が目を見開き、感嘆の声をあげる。



「あはは…。 やっぱり上手くいかないなぁ。」



切り口がガタガタになってしまったと、恥ずかしそうに顔を赤らめる伯父。



「都に戻ったら、先輩に見せてもらえるよう頼んであげるから、今日はこれくらいで勘弁してください。 先輩のは凄いですよ〜。」



気導と魔導の話で盛り上がる男性陣達に背を向け、部屋を出る。

刀以外でも、気導は使える……?

初めて知る事実だった。