「《…は? バレた? アイツに?》」
「《かも、の話ね。 突然のことで、ちょ〜っと素が出ちゃってさ。 でもあの子、俺達の言葉聞き取れないんでしょ?》」
「大丈夫だよ〜」と呑気に欠伸をする同じ顔に腹を立てたラキアスは、ピッとその頬に赤い線の傷をつける。
「《しばらく減給。》」
「《えー。 俺頑張ったのに。》」
「《おーい。 ちょっとうるさいぞリック…って、どっちがリックだ?》」
争いを仲裁しようと部屋に入ってきたレナードが、困ったように2人のラキアスを見比べる。
「《ほら〜。 レナっちでも気づかないんだから、あんな鈍臭い女に気づかれるはずないよ。》」
「《あぁ、そっちがリックか。 今日は桜達親子もこの宿舎にいるんだ。 ラキアスの機嫌をこれ以上損ねる前に、持ち場に戻った方がいいぞ。》」
リックと呼ばれたラキアスと同じ顔をした男は、パチンと指を鳴らす。すると先程まで金の色をしていた髪は黒く、顔の形もぐにゃりと変わった。
「《第一、怪我するラッキーが悪いんでしょ〜? 何をどうしたらそんな怪我するの。》」
「《そのラッキーって呼ぶの、いい加減やめろ。 あぁ、そうだ。 明日は俺に施せよ。》」
「《え〜。 人にこれするの、疲れるんだけど。》」
リックと呼ばれた男は嫌そうな顔をして、軽やかに窓から外へ出る。
「《あと3日…気を引き締めないと。》」
「《どうした? 何かあったのか?》」
「《リックが、桜にバレたかもしれないって。》」
「《ありゃりゃ。》」
レナードは不機嫌な主人に、困ったように笑った。

