「《…桜か。》」
それだけ言ってまた、商品に目を落とす。
真剣…。故郷の想い人にでも渡すのかしら?
ラキアスは表情が乏しい。いつも何を考えているのかわからないが、ラキアスにも可愛らしいところはあるのだなと口元が緩んでしまう。
「《…何をニヤニヤしている。 気味が悪い。》」
「今のはわかりますよ。 悪口を言ったでしょう?」
ビシッとおでこを人差し指で弾かれる。
「痛い!」
「《通じないと思って、好き勝手言ってくれる。 あっちへ行ってろ。》」
何を言われたかはわからないが、しっしっと手を払われるので、その場を去る。
早く冷水を買って戻ろう。
「あれ? レナードさん。」
冷水を買って戻ると、焦った様子のレナードが伯父に詰め寄っていた。
「《おかえり桜!》」
「はい、冷水ですよ。 伯父様、レナードさんは何と言っているのですか?」
「あぁ、ラキアス君を見失ったようでね。」
ラキアスなら向こうで見たと言うと、カタジケナイ!と走り出すレナードさん。
「どうしたんでしょうか?」
「《レナードは心配性だからな。 慈郎!じゃなかった…先生! 今度は甘いものが食べたいぞ!》」
「桜ちゃん、アダム君が甘いものが食べたいようです。 何かお勧めはありますか?」
「そうですね…今川焼きはいかがでしょう?」
「いいですね。 私も久しく食べていません。」
甘いものを食べたら市を巡りながら、2人と合流して神社へ行こうという話になった。

