「やあやあ、ごめんね。 おはよう桜ちゃん。 待たせてしまったね。」
「おはようございます、慈郎伯父様。」
「《おはようございます、桜さん。》」
「《おはようございます、ジェームズさん。》」
アズマ風にお辞儀をしてくれるジェームズさんに、自然と笑みが溢れる。
異国の方が、私達の文化を学び、尊重してくれるのはとても嬉しいことだ。
「そろそろ行こうか。 桜ちゃんは僕から離れないようにね。 お母さんに怒られてしまうから。」
「はい。」
「《おお! やっとお出かけか!?》」
アダム君が嬉しそうにピョンピョン飛び跳ねる。今日は外から行商の方も多く来る、定期市が開かれる日だ。
市が開かれるのはこの近くの広場で、浮足立つアダム君を先頭に、ラキアス、レナードさんと続き、私と伯父様が続いて歩く。ジェームズさんは別の用事があるらしく、今日は別行動をとるようだ。
「《桜! 桜! あれは何だ!? いい匂いがするぞ!》」
「《イカの串焼きですね。 食べてみますか?》」
伯父はいいねと頷く。懐からお金を出し、アダム君に握らせる。ラキアスとレナード、そして私にも同じように、お小遣いだといくらか握らせてくれた。
「《これで好きなものを買うといいよ。》」
「《本当か!? 桜、行こう!》」
「《ああっ、置いていかないでくれ! ラキアス君、レナード君、後で合流しよう!》」
私の手を引いて走り出すアダム君を、伯父が追いかける。ラキアスとレナードはそれを呆れた様子で見ていた。

