紺碧のアステリズム




「《アイツはレナードっていうんだ! 僕や兄ちゃんの護衛で、超強い! 剣も凄いけど、体術が凄いんだ! 騎士団長の息子だよ。》」



おそらくアダム君は窓の外に現れた青年のことを説明してくれているのだろうが、やはり何を言っているかわからない。本で勉強しただけでは、伝えることは出来ても聞き取ることまではできなかった。

2人が私を指しながら何か話している。



「《…コレが慈郎先生が言ってたヤツか?》」

「《ラキアス、レディに対してコレとは失礼ですよ。》」



私のことを話しているのはわかるのだが、それが何か全く聞き取れない。



「《アダム、慈郎先生はこの女のことを何て言ってたんだ?》」

「《わかんない…けど、ジェームズが、遊ぶならラキアスと一緒にって。》」

「《ジェームズ様がそう仰るなら、良いのでは?》」



3人からじっと見つめられ、居た堪れない気持ちになる。
今日は異国の方にお会いしたら挨拶をして、自己紹介をするに留まると思っていた。それがいきなりこんな風に取り囲まれて、異国語を浴びるような経験をするなんて、誰が想像できただろうか。



「《そんなことより、なあなあ! 早く遊ぼ! 遊ぼうぜ〜!》」



突然床をダンダンと飛んで何かを主張し始めたアダム君に驚き、しゃがんで声をかける。



「ど、どうしましたかアダム君…!?」

「《遊ぼー! 遊ぼーうー!》」

「えっと…遊ぶ? 遊ぼうって言ってるのかな? あの、皆さんで遊びませんか? だるまさんが転んだなんてどうでしょうか!?」


 
なんとかアダム君を宥めようと咄嗟に出た言葉に、ハッとする。

だるまさんが転んだって…どうやって説明すればいいの?

しかし、時すでに遅し。アダム君がキラキラした目を向けて私に迫る。



「《何だ!? それどんな遊びだ!?》」



お、伯父様ぁ……!

もっと異国の言葉を勉強して置くんだったと、激しく後悔したのだった。