「───それにしても、本当に翡翠きゅんが無事でよかったわ」
ルームミラー越しに合った瞳には、大きく安堵の文字が書かれているようだった。
「倉庫へ向かう途中で襲撃にあったなんて、理人に報告しなくちゃね」
「……理人に?」
「翡翠きゅんが狙われたかもしれないんだもの!一大事よ!」
「……」
「っあー!思い出したらアイツら…!ムカムカしてきたわ!」
憤慨する智哉に、思わず椿とふたりで顔を合わせて黙り込む。
……まずいな。理人にまで報告がいくのは困る。
椿とわたしのふたりでたてた計画を今さら壊されるわけにはいかない。
「───翡翠さん、」
それは椿も同じだったようで、こそりととある作戦を耳打ちされる。
「ほんとう?」
「ええ。必ず」
半信半疑で問いかけるわたしに、不敵に微笑んだ椿はこくりと頷く。
「智哉」
「なあに?翡翠きゅ、………ッ!」
………羞恥心がないかと言えば嘘になる。
「……お願い。今日のことはきっとたまたまだろうから、誰にも言わないで」
