「椿」
「ええ。もちろんです」
カーチェイスを繰り広げる智哉の瞳孔は完全に開いている。
感化されたように無意識に口角が上がる。
それを手で隠しながら、椿を呼ぶと察したように上がった口角を隠しもせず頷いた。
「智哉。ロック解除しろ」
「へ?……っまさか、翡翠きゅんが!?」
智哉が言い終わる前にドアのロックが解除されたと同時に車から飛び降りる。
勢いを殺すためにゴロゴロと回転しながら着地すれば、驚いたように立ち止まるバイクの奴らの前に立つ。
後方にいた数名が慌てて逃げ出すのをそのまま見送って、
「かかってこいよ」
前に立つ奴らに挑発するように中指を動かすと、バイクを投げ捨てて鉄パイプを手に立ち向かってくる。
