歴代最強のオヒメサマ

ぐっ、とハンドルを握り直した智哉に、慌てて声をかける。


「智哉。道は任せるけど……抜けられる?」


囲まれているこの状況での無茶振りにも、智哉は唇を舌で濡らすと、ギラつく瞳で口角を上げた。


「当然」


その表情にわたしも、ふっと頬を緩める。


「───翡翠さん、どうします?」


智哉に当てられたのか、椿が眼鏡の奥の瞳の興奮を隠せないままこちらを振り向く。


「……作戦変更。囲みで行こう」


「了解」
「まかせて!」



……智哉に至っては作戦もなにも教えてないはずなのに、囲みの一言だけで察したようにハンドルを切る。

鉄パイプを持ったバイクに囲まれればさすがに降りてくるだろうと思っていたのだろうが、智哉の急ハンドルに状況は一転する。

ギリギリのところで間一髪避けた彼らはそれにより、車との距離ができてしまい、その間に智哉は勢いよくアクセルを吹かした。