放課後、学校の裏門近くで待つようになった黒い車。
「おかえり、翡翠きゅん」
「……ただいま、智哉」
後部座席に乗り込むと、運転席には智哉がサングラスをかけて乗っている。
にこりと笑って挨拶してくれるのはここ最近の日常となりつつある光景だ。
「いやあん、今日も顔がいい〜!翡翠きゅんの送迎ができるなら留年して良かったわ!」
サングラスをかけると普段よりも三割増で厳つく見える智哉から出たとは思えない高い声でくねくねと体を揺らす仕草にも慣れてきた。
「───相変わらず馬鹿言ってんね、智哉」
そして時々乗っているのは、水月総長の理人。
「おかえり、翡翠ちゃん」
「ただいま、理人」
「やっぱりその制服似合うよね。これじゃあ、男も放っておかないんじゃない?」
白いセーラーのリボンを摘んでそう言った理人の手を払いながら、
「……まさか」
首を振ってそう言うと顎を掴んでこちらを見ていた理人が、なるほどね。と一人言をこぼす。
「────無自覚も考えものだな」
