歴代最強のオヒメサマ

理人の声が遠くなる。
まだ真新しい過去へと記憶が遡っていく。



───あの日

……翔真が何も言わずに消えたきっかけとなった日。


わたしたちはいつも通り繁華街を遊び歩いていた。

そのときのわたしたちは喧嘩なんて知らなかったから、学生らしく映画を観たりゲーセンで遊んだりしていた。


歩道橋の上。

わたしの少し後ろを翔真が歩いていて、やけに夕日が綺麗な時間だった。


翔真にも教えようと振り返ったわたしの横を、誰かに押された翔真が階段を転がり落ちていくのがやけにゆっくりと見えた。


……押した相手の顔はよく見えなかった。

あんなに綺麗だと思っていた夕日が憎いくらいの逆光で。


「私のものにならない翔真さんなんて死ねばいいのに」


でも、その声も言葉も今でも覚えている。


必死に翔真に手を伸ばして、その頭を庇うように抱きしめる。
衝撃が襲うと同時に辺りを悲鳴が包む。