歴代最強のオヒメサマ

わたしだけがわからないらしい。

それでも、待つってことはあの傷付いた顔をした翔真を放っておくことで。


「……どうしても、だめだった」

「は?」


声に出ていたらしい。

翔真がわたしを見て首を傾げる。


「放っておくなんて、できなかった」



掴んだままの人差し指がぴくり、と動いた。

絡んだ瞳がゆらゆらと揺れている。