「あれ?総長、どうしたんスか」
「………ああ、悪いけどわたしのこと送って行ってもらえないか?」
「っえ!」


智哉には悪いけど、翔真と顔をあわせる自信が無い。

さっきまでは普通だったのに、なんで思い出しちゃうんだ。

思い出したら、普通でなんていられないのに。


「智哉さんいるのに、俺でいいんスか……?」
「ああ、おまえがいい」
「っひぇ、」


変な声を上げて心臓を抑える彼に首を傾げていると、しばらくすると落ち着いたのか震える手でバイクに乗る。


「……大丈夫か?」
「だ、だいじょうぶっすよ、」


後ろに乗って小柄とはいえ、わたしよりも大きいその腰に手を回すと大げさに体を跳ねさせる。


「ほんとうに大丈夫か……?」
「はわわわ」